こんにちは、えぞまち観光部です。
北海道は海に囲まれていて、札幌から近いエリアでも小樽・石狩・苫小牧など海を身近に感じることもありますよね。
港を見ていると、貨物船・タンカーやフェリー、漁船などが出入りしている様子を見ることもあるでしょう。
ですがときどき、珍しい船に出会えることもあります。
今回は、30年ぶりの寄港となる「日本丸」がやってきた、「石狩湾新港開港30周年記念フェスタ」にお邪魔してきました。
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帆船「日本丸」って?
今回、この「石狩湾新港開港30周年記念フェスタ」を訪れた大きな理由となったのが、この「日本丸」の存在です。
<まずはこの「日本丸」というのがどのような船なのか、一緒にざっくりと見てみましょう!
「初代」日本丸
初代の帆船「日本丸」は、昭和5(1930)年に建造された船です。この船は、船員を養成するための「練習船」として建造された船です。昭和のはじめごろには、こうした練習帆船がいくつか国内にありましたが、船員養成学校のおよそ半数が専属の練習帆船を持っていないという状態でした。
こうした航海実習や練習のための船として、姉妹船「海王丸」とともに建造されたのです。
昭和6(1930)年、それまでは沿岸航海をしていた日本丸でしたが、とうとう遠洋航海にも旅立つこととなります。太平洋を中心に、ホノルルやトラック、サンフランシスコなど様々な場所を航海しました。
この後、日本は太平洋戦争に突入します。日本丸も戦争の影響を受け、外洋訓練は停止されました。ヤードやマスト、帆などの帆走艤装はこのとき外されました。かわりに、瀬戸内海や大阪湾で石炭などの物資を輸送する役割を果たしつつ、訓練を並行していました。
日本丸は幸運にも無事に終戦を迎え、戦後は訓練航海のかたわら、外地へ派遣されていた人員の復員輸送の役割も果たしました。
また、1950年に勃発した朝鮮戦争では、アメリカ軍人や韓国避難民の輸送にも貢献しています。こうした活躍もあり、帆船は時代遅れではないことが認められました。
その後、1953年以降はふたたび遠洋航海・実習生訓練を実施し、1984年、とうとう日本丸は54年にもわたる長い役割を終え、「日本丸(2代目)」へ練習の役割を引き継ぐことになったのです。
正確な記録のみから算定しても、約127万km・162次の航海と6,509名の実習生育成を担った「初代」日本丸は、現在は横浜港の日本丸メモリアルパークで保存されており、国の重要文化財に指定されています。
★日本丸メモリアルパーク 帆船日本丸(横浜みなと博物館)
https://www.nippon-maru.or.jp/
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「2代目」日本丸
さて、今回石狩湾新港に寄港した日本丸は、現役の練習船。竣工は昭和59(1984)年です。全長110.09メートル、メインマスト高43.5メートルと、日本の歴史上、「最大」の大型練習帆船であることに特徴があります。また、帆装艤装設計から製作まで一貫して国産となったのは日本丸が初めてのことなのだそう。
写真は停泊中のため帆を畳んでいますが、計29枚の帆があります。(練習船時代は35枚)
日本丸は世界でも有数の「高速帆船」として知られており、年ごとに最速の帆船が受賞する「ボストン・ティーポット」も受賞しています。
また、白く美しい姿は「太平洋の白鳥」との呼び名もあるようですね!
★独立行政法人 海技教育機構 練習船 日本丸
https://www.jmets.ac.jp/ship/nipponmaru/index.html
いざ、日本丸へお邪魔します!
さてさて、毎度おなじみ長い前置きはこれくらいにしまして、さっそく乗船します!
のぼり用タラップは緩やかなのですが、降りるときは意外と勇気が要ります…笑
まず目についたのはこちら「ハンド・キャプスタン」。巻き上げ機ですね!帆船が登場する映画などでも、大柄な船員がバーを握ってぐるぐる回っている、アレです。
次にこちら、「フォア・マスト」、船舶の一番前にあるマストのことです。もっとも高いメインマストより少し短いですね。
「予備大錨」…アンカーですね。絵文字の「いかり」マークのアレですが、アンカーにもいろいろな形があるものなのですね。
こちらは「ラム(衝角)」…ではなくて、「バウスプリット」。マストを支えるワイヤを取り付けたり、小型ボートの場合にはアンカーローラーを巻き付けたりすることもあるようです。
ちなみに、航海の安全を祈願して、このバウスプリットの下に彫像が設置されている船が多くあります。
日本丸の場合はこちら。「藍青ちゃん」。
こちらは「救命艇」。船に乗る人にとっての「命綱」的な存在ですね!
船の後部に移りまして、こちらは「後部海図室」。なんだか作戦司令室っぽくてかっこいいですね!
メインマスト!なんとか写真に収めようとしましたが、やはり高くて全体は収まらず…!近くで見るとものすごい迫力です!
こちらは操舵輪!舵取りの転輪ですね。
実習生の方々の過ごし方についても展示されていました。イラストで親しみやすいですが、やはり航海実習はなかなか大変そうです。
実習生の方と会話して教えていただいたのが、こちらの「ヤシずり」。甲板の木材をヤシの身を使ってこすり、清掃する作業です。
実習生の方々は、このヤシの実の二つ割りを清掃具として、甲板のチーク材を起床後朝食までの時間で毎朝擦るのだそう…。
えぞまちもお借りして、少しこすってみましたが…これは大変!腰と脚の限界は意外と早く訪れました。笑
このヤシずりは、船乗り用語で「タンツー」と呼ばれるそうです。英語の「turn to(仕事を始める)」という言葉に由来しているのだそうです。
★参考:甲板磨き用の椰子割り
https://www.oceandictionary.jp/scapes1/scape_by_randam/randam6/select601.html
こちらはタイムベル。船鐘とか号鐘とかの呼び名もありますね。船上では時間の管理や号令、安全のための合図として鐘が活用されてきた歴史があります。
見学はこれにて終了。実習生の方々は皆さん笑顔で「こんにちは!」とお声がけくださり、楽しく見学することができました。
石狩グルメも味わってきました!
さて、イベント会場ではキッチンカーや飲食の出店もありました。
いただいたのがこちら「厚田ぶたまん」(旗が反転しているのに気づきませんでした)
えぞまちが訪れた際はものすごい行列になっていて、待ち札が出るほどでした。
このぶたまんに使われている「望来豚」は、札幌市内では一部百貨店などでしか販売されていない石狩の高級豚を使用しているのだとか…!
こちらが豚まん。ずっしりと重みがあります。
割ってみると…おおっ、中身がたっぷり!
頂いてみると、甘みと深い味わいのある豚を、もっちりしっとりとした皮が包みこんでいて物凄い満足感があります。暑くて若干食欲減退気味だったのですが、ぺろりといただいてしまいました!
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まとめ
普段なかなか「港」を訪れる機会はないのですが、今回は思い切ってイベントに参加して船を見学し、とても貴重な体験をしてきたと思います。
「日本丸」がまた石狩の港を訪れてくれる日が楽しみですね。
実習生の皆さんは大変な日々と思いますが、航海の安全とご活躍をお祈りしております!
イベント情報
◯イベント名:石狩湾新港開港30周年記念フェスタ
◯開催日時 :2024年8月10日、11日
◯開催場所 :石狩湾新港西埠頭(小樽市銭函5丁目)
◯URL :石狩湾新港開港30周年記念事業
◯地図 :