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【歴史部】<札幌市>厚別に残る酪農の歴史とは?「旧出納邸」・「雪印バター誕生の記念館」

 

こんにちは、えぞまち歴史部です。

「北海道の酪農」と言われたとき、現代では十勝・帯広をイメージするでしょうか。あるいは、根釧台地をイメージするという方もいるかもしれません。

しかし、実は札幌にも酪農や乳製品に関する施設や記録は数多く残っています。今回訪れたのは、そんな酪農の歴史が残る札幌市厚別区の「旧出納邸」「雪印バター誕生の記念館」です。

 

 

 

厚別区上野幌に残る2つの酪農の記録

さて、今回訪れた2つの施設は、札幌市厚別区上野幌にあります。実はこの「上野幌」と、同じ厚別区にある「下野幌」、「小野幌」、そして北広島市の「西の里」と江別市の「野幌」は、かつては「野津幌(のつほろ)」と呼ばれていたという歴史があります。この地名の由来はアイヌ語の「ヌプ・オル・オ・ペッ(野の中にある川)」であるといわれています。

この上野幌という地名は、「野津幌川の上手」であるという意味で昭和25年に「上野幌」と名付けられたとされています。

さて、上野幌がまだ野津幌と呼ばれる時代、具体的には大正13年ごろ、この地には一大酪農地帯が広がっていました。その中に建てられていたのが今回訪れた「旧出納邸」です。

 

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特徴的な「マンサード屋根」が目印 「旧出納邸」

 

 

この「旧出納邸」は、上野幌1条5丁目にある「雪印種苗園芸センター」の敷地内にあります。実はこの場所、以前にえぞまちでも訪問しており、敷地内にある「恵庭荘」について記事にしています。

 

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こちらの「旧出納邸」、文字を見たときに「出納」という言葉から、とっさに「お金を出し入れする場所?帳簿を管理する場所だったのかな?」と思ったのですが、実はそうではなく…この場所に「出納」という方が住まわれていた邸宅だったのです。

 

邸宅の主は「出納陽一」氏。建物は大正14年に建てられたものです。出納氏はこの場所で「出納農場」を経営していました。農業において、冷害や凶作の影響が現代よりもダイレクトにあり、かつ深刻だった時代、農業を安定させるためには有畜農業が有効であると考えられました。そこで、この野津幌の周辺一帯を、酪農家が研究・実験をするための場所として活用することになったのです。

 

 

この「旧出納邸」のやや丸みを帯びたように見える屋根は、「マンサード屋根」と呼ばれていて、この建築方法は17世紀のフランスの建築家「フランソワ・マンサール」が考案したとされる屋根です。

この形式の屋根は天井高を大きくしたり、屋根裏部屋を設置したりするのに適している構造なのですが、「マンサード屋根」がこの出納邸に取り入れられたことには、出納氏が酪農経営を学ぶためにデンマークに留学した際に目にしたものをモデルとしているのだとか。

また実はこの時代、「マンサード屋根」の建物は大正時代の札幌では大流行していたようです。

 

ちなみに、マンサード屋根が採用されている現存の建物には、埼玉県秩父郡皆野町にある「親鼻駅」の駅舎があります。また、旧樺太の豊原駅もこの様式だったようですが、現代では採用されていないようですね。

 

残念ながら建物の内部は見学できなかったのですが、この建物のエピソードを詳しく調べるうち、もう一つの建物についても理解が深まりました。

 

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旧出納邸と密接な関わり「雪印バター誕生の記念館」

 

 

先に解説した「旧出納邸」と向い合せのような形で建っているのが「雪印バター誕生の記念館」。こちらも内部は見学できないので外観のみです。

 

先の話に登場した「出納氏」は、この地を酪農の研究のための場所としていたのですが、ここにもう一人の重要な人物が関わってきます。それが「宇都宮仙太郎」という人物でした。

 

宇都宮市は、明治35年に現在の札幌市豊平区菊水の原野に牧場を開き、ホルスタイン種の乳牛20頭あまりを飼育していたのだそう。大正4年には、自分が会長となって、「札幌酪農組合」を結成していました。

 

その後宇都宮氏は上野幌にある出納農場(出納氏)の経営に参画することになり、この地は「宇納農場」となります。

 



こちらは「旧宇納牧場」のサイロです。

 

そして、大正14年から、宇都宮市はこの農場を借りて、バターの工場を作り、「農民のための生産組織」として、「北海道製酪販売組合」を設立し、バターの製造を行うことになりました。

 

翌年には「北海道製酪販売組合連合会」に改組され、工場も東区苗穂地区に移動するのですが、この「北海道製酪販売組合連合会」こそが、ご存知「雪印乳業」の前身となったわけです。

 

 

そのようなわけでこの地には、「雪印バター誕生の記念館」が存在しているというわけです。

 

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おわりに

 

今回は札幌市厚別区の上野幌に、思いがけない形で酪農の歴史が残っていることを発見し訪れました。

施設内部が見学できなかったことは残念でしたが、こうして建物や施設が残っていることで、この地で酪農に情熱を燃やした先人がいたことを学ぶよいきっかけとなりますね。

雪印種苗園芸センターを訪れる祭や、上野幌を訪れる際にはぜひ立ち寄ってみてくださいね。

 

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施設情報

 

◯施設名:旧出納邸・雪印バター誕生の記念館
◯住 所:〒004-0031 北海道札幌市厚別区上野幌1条5丁目1−8
◯URL:https://www.city.sapporo.jp/atsubetsu/gaiyo/konzyaku.html
◯地図 :

 

 

 

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